日本は胃がん罹患数が世界的に多い国の一つです。早期では内視鏡切除や手術が中心ですが、切除不能・転移性胃がんでは薬物療法が主体となります。2020年代に入り、免疫療法やADCの登場で治療の選択肢が大きく広がっています。

胃がんの診断で確認すべき検査

検査確認内容治療への影響
HER2検査(IHC・ISH)約15〜20%が陽性陽性ならハーセプチン・エンハーツが使用可能
PD-L1(CPS)スコアで段階評価CPS≥5でオプジーボ+化学療法の恩恵が大きい
MSI検査約4〜9%がMSI-HMSI-Hなら免疫療法が特に有効
EBウイルス(EBV)感染約5〜10%PD-L1高発現が多く免疫療法が有効な傾向

HER2陽性胃がんの治療

全胃がんの約15〜20%がHER2陽性で、乳がんと同様にHER2標的治療が有効です。

  • 一次治療:ハーセプチン(トラスツズマブ)+オプジーボ(ニボルマブ)+化学療法(KEYNOTE-811・CheckMate-590ベース)
  • 後期ラインエンハーツ(T-DXd)が承認済み。DESTINY-Gastric01試験で化学療法比で大幅に良好な成績
  • 一次治療へのエンハーツ拡大Destiny-Gastric05試験が国内17施設で進行中

HER2陰性胃がんの治療

  • 一次治療:オプジーボ(ニボルマブ)+FOLFOX/CAPOX(CPS≥5の場合)
  • 化学療法(全例):フルオロウラシル+シスプラチン/オキサリプラチン系が基本骨格
  • 二次治療以降:タキサン系薬・ラムシルマブ(サイラムザ)・ロンサーフなど

国内で進行中の胃がん治験

  • Destiny-Gastric05(T-DXd):HER2陽性胃がんへの一次治療でエンハーツを試験。国立がん研究センター・がん研有明・愛知県がんセンター・大阪国際がんセンターなど17施設
  • CLDN18.2標的抗体(ゾルベツキシマブ):胃がんの新規標的として注目。国内試験参加施設も存在
  • FGF受容体阻害薬・抗VEGF-A抗体など複数の新規治験が進行中

参加施設の詳細はがん治験を行っている主要病院一覧をご参照ください。

よくある質問(FAQ)

胃がんと診断されたら最初に何を確認すればよいですか?+
切除不能・転移性の場合、HER2検査・PD-L1(CPS)検査・MSI検査の3点を確認することが重要です。これらの結果が治療薬の選択に直結します。まだ受けていない場合は担当医に確認してください。
HER2陽性の胃がんに使えるエンハーツは何ライン目から使いますか?+
現在の承認は「前治療歴があるHER2陽性胃がん」で、通常2ライン目以降です。一次治療からの使用を目指すDestiny-Gastric05試験が進行中で、承認されれば将来的に一次治療での使用が可能になる可能性があります。
スキルス胃がん(びまん浸潤型)でも治験に参加できますか?+
スキルス胃がんを対象とする試験もあります。ただし一般に予後が不良で全身状態(PS)が低下しやすいため、参加条件を満たせるかどうかのスクリーニングが重要です。早めに治験窓口に問い合わせることをお勧めします。